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機材の製作や修理作業内容など、ゆっくり適時更新中。
HONNER B2A HEADLESS BASSの全体調整&ノイズ処理
今回はSTEINBERGERのコピー品であるHONNER B2A HEADLESS BASSの全体調整&ノイズ処理です。
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本家オリジナルはカーボンファイバーボディだったりしますが、このHONNERはメイプルネック&メイプルボディというオーソドックスな材構成ですが、ボディサイズが小さいので重量は軽めです。

オリジナルプリアンプ(ブースター)回路と、駆動用バッテリーを1つのバッテリーボックス内に収めるレイアウト。
イコライザは無く、基板上にGAIN調整用トリマーが載っているのみです。
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出力信号を小型トランスに通してローインピーダンスのバランスアウトとするXLRコネクタも搭載していました。
ここにマイクケーブルをつないでミキサーなどに信号を送る事が出来ます。
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この狭いキャビティにプリアンプのON/OFFスイッチ、2ヴォリューム、マスタートーン、トランスと搭載するとさすがにギチギチですが、今回はオーナー様の希望に合わせて変更を行います。
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まずはノイズ処理を行うためにキャビティ内の塗装を除去します。
併せて取り付け部品の寸法に合うように穴の内径を微調整したり、ネジ穴を開けたりと細かい作業を行って…
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プリアンプON時に赤色LEDが点灯するのですが、そのためにスイッチ回路が1回路取られてしまいトゥルーバイパスになっていなかったので、トグルスイッチも3回路にしてLED付きトゥルーバイパス化します。
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アウトプットジャックは元々は叩き込んで取り付けされていたので、後々交換が必要になる場所だけにネジ止め式ジャックに変更します。
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導電塗料を塗布乾燥したら、組み上げていきます。
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コントロールはマスターヴォリューム、ピックアップバランサー、マスタートーンに変更となります。
バランサーポットにはノブを取り付けていない状態で写真を撮ってしまっていました。

小型ポットを使用しても配線本数もあって結構詰まっていますね。
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時にはこのスペースでプリアンプ基板まで納める事もあるので、作業的にはまだまだ余裕がありますが。

ノイトリックのロック付きレセプタクルジャックを使用しました。
赤いレバーを押しながらでないとプラグが抜けないのですが、がっちりとした差し込み感触が気持ち良いです。
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そして大変だったのはむしろこのヘッドピース周りの作業。
ダダリオのダブルボールエンド弦を使用されるのですが、弦のボールエンド付近の巻き返し部分が0フレットに乗ってしまい、弦を張るたびにローポジションの弦高が変わる状態。
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またフレット高さも1フレット以降に比べて低く、解放音でビリツキが出てしまう状態でした。

そこでアルミ板を切削してネックとヘッドピースの間に挟むスペーサーを作成してみました。
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装着するとこのような状態。
ワンポイントのシルバーラインが個人的には格好良い気がしますが、気になるようならば黒色に塗装するのも手ですね。
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0フレットはステンレスフレットに交換して高さを微調整してビリツキを解消しました。
常に弦が当たる部分なのでステンレスにする事で摩耗の心配も減り、安心して使用できますね。
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ボールエンド付近の巻き返し部分も0フレット上に乗らなくなり、安定した弦高を得られるようになりました。

ダブルボールエンド弦は弦の長さが厳密に調整されているので、スペーサーを入れた分はブリッジサドルが前方に出てくることになります。
チューニングしてあると不意に外れる事は無いですが、ブリッジ後部からボールエンドが殆ど見えるぐらいになる変化はありますね。
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ブリッジサドル上にも弦の巻き返し部が乗らない絶妙なセットが出来ました。

全体的にワックスがけをして完成&納品。
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パッと手に取って弾くにも、持ち出すにも取り回しが良くて重宝しそうですね。
今回は0フレット交換以外はオリジナルのフニッケルシルバーレットですが、今後摩耗が出てきたら他の所有ベースのようにステンレスフレットに交換するのも手ですね。
その時にまたご相談いただければ幸いです。




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Aria ProⅡ RSB1505の改造
今回はAria ProⅡ RSB1505の改造です。

入手時からピックアップやプリアンプが交換されていた個体との事。
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アッシュボディに薄いキルトメイプルが貼り付けられた当時の最上級仕様ですが、使用部品グレードや木材加工精度も良くてコストパフォーマンス高いなぁと感じました。

クリアアクリル3mm厚のピックガードのエッジを奇麗に磨くのは結構手間がかかりますが、丁寧な仕事がされていました。
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ESPのcinnamonプリアンプが搭載されていました。
このプリアンプとピックアップだけで5万円は堅いですね。
クリアパネルで内部が見えるから配線も丁寧に行われています。
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バッテリーボックス部の蓋がちょっとだけ写っていますが、交換時にネジ4本外すのは煩わしいとの事でワンタッチ式に交換していきます。

今回はこのJJピックアップ間にハムバッカーを搭載してJHJレイアウトにしたいとの事でご依頼いただきました。
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テンプレートを作成してボディへのザグリ加工&ピックガードも切削を行いました。

ピックアップを増設で元々のJJとの組み合わせをチョイスするピックアップセレクターと、ハムバッカーのワイヤリング切り替えのためにミニスイッチを2個増設する事になりました。
ボディにスイッチ用の穴あけと、深さ方向のザグリ加工を行いました。
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加工後には導電塗料を塗ってシールディングしてあります。

そしたら一気に配線作業を行って完成です。
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Seymour DuncanのSMB-5Aが入ると見た目のインパクトが凄いですね。
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コントロールノブは左側からマスターボリューム(PULLアップでプリアンプバイパス)、JJピックアップのバランサー、トレブル、ベースとなっています。
増設したミニスイッチは写真では左側がピックアップセレクターです。
ノーマルのJJ(バランサー&マスター)/JJ(バランサー)+MM(フルボリューム)/MM(マスターボリューム)となります。
右側のスイッチはMMハムバッカーのワイヤリング切り替えです。
シリーズ/タップシングル/パラレルの3モードがチョイスできます。
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スイッチが追加されたことにより配線本数も増えていますが、極力奇麗に配線する事を心掛けました。
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バッテリーボックスはワンタッチで開き、電池を差し込むだけで簡単に交換が出来るものをチョイス。
取り付けのために木部壁面をほんの少し削りましたが、大幅なザグリ追加なしで使い易くなりました。
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ボリュームポットは回転トルクが軽すぎるものが使われていたため、希望によりCTSのポットに換装しました。
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デジタル式の表示パネルが異様に目立ちますよね。

3バンドEQのミドルポットはお預かり時はガムテープでキャビティ内に貼り付けてあっただけなので、移設しつつ高さ調整用のスペーサーを作成して両面テープでしっかり固定。
ピックガードに穴を開けてシャフト頭がギリギリ出るくらいにする事で爪やピックで回しやすくしてみました。
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そして元々のミドルポット調整用の穴が開いてしまうのはどうも格好良くないので、その穴位置にスイッチが来るように電池用のバッテリーチェッカーを作成してみました。
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スイッチを押している間だけ電池電圧が表示できるので交換タイミングが把握しやすくなるでしょう。
(スイッチは爪でも押せますが、写真撮影の都合上、細い棒で押しています)

全体的にワックスをかけて完成。
とても強そう!&悪そう!ですが、サウンドバリエーションはとても多彩なベースになりました。
その分、お気に入りのトーンを探すために暫く弾きまくることが必要ですね。
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今回は電装作業のみのご依頼でしたが、ネック反りや弦高などは問題もなかったので触らずに納品となりました。


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YAMAHA MOTION BASS MB-Ⅲの全体調整&ノイズ処理
今回は前回に引き続き、同じオーナー様からの依頼でYAMAHA MOTION BASS MB-Ⅲの全体調整&ノイズ処理です。
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こちらはPJレイアウトでピックアップバランサー仕様ですね。
ブリッジなども色々と仕様が異なります。

フィンガーレストはご自身で作成して両面テープで貼り付けてあるそうです。
ノイズ処理作業の際に邪魔になるので、一旦取り外して最終的にまた貼り付けます。
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ブリッジのサドル高さ調整ネジが入れ替えられてバラバラでしたので、正しい位置に変更していきます。
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コントロールキャビティ内にはグチャっと詰め込まれた配線。
バランサーポットとはいえ、5:5の時に抵抗を通って音量が下がるという部品でしたが、今回はご予算の事もありバランサーポットは再利用しますが、ボリュームなどガリが目立った物は交換していきます。
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ピックアップもカバーが接着されていましたが、経年劣化で接着剤が剥がれていたので取り外しし易かったです。
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この後は銅箔テープでコイルシールディングを行ってから、ピックアップカバーをまたボンドで接着します。

ピックアップ&コントロールキャビティ内の塗装を削り落としてから、いつもの銅系フィラーの導電塗料を塗っていきます。
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導電塗料は塗るだけではノイズを拾うアンテナになってしまう事もありますので、塗布後は確実にグラウンドラインへ接続する事が大切です。
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ピックアップの配線も撚り合わせて奇麗に取り回しを行うと、とってもすっきり収まりますね。
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キャビティ蓋の裏側にもアルミシールドテープを貼って、グラウンドへつながるように配慮してあります。
それによって音声信号ラインをグラウンドレベルの箱で包んでしまう事で外来ノイズを低減させる事に意義があります。

前回のMB2でも感じた特徴的なヘッドレイアウト、木材の歩留まりがどんな風になっているのか気になっていました。
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今回はナチュラルカラーなので木材を貼り合わせてある部分がよく判りますね。
写真のコントラストを上げて材色差が判りやすいようにしていますが、厚さ方向で貼り合わせてあることが判ります。
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ヘッド裏のV字形状が始まる辺りで継いであることが判りますね。
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これだとネック製材時の歩留まりも悪くないと思いますが、どちらにしても加工は大変ですね。

指板のエッジは作業前後で並べてみました。
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   ビフォー↑ アフター↓
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最終的にワックスをかけてしっかりと調整を行って完成。
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ネックに経年による捻じれやフレットの摩耗も見受けられ、ローアクションにするにはフレット交換しつつ指板研磨修正が必要になる状態でしたので、今後また担当させていただけると幸いですね。

ミディアムスケールの取り回しの良いベースで使い易そうでした。



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YAMAHA MOTION BASS MB-Ⅱの全体調整&ノイズ処理
今回はYAMAHA MOTION BASS MB-Ⅱの全体調整&ノイズ処理です。

お持ち込み時には目立つノイズとハイ落ちが気になるという事で各部を見ていきます。
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コンパクトなボディにミディアムスケールのネックを組み合わせた仕様です。
このヘッド形状はとても特徴的ですね。
左右にオフセットしていますが、フラットフェイスにしない事でヘッド面の強度を上げる役目もありそうです。
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お預かり時はロングスケール用の弦を張ってあったため、ペグポスト部は弦が重なってごちゃごちゃしています。
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製造時の切削加工や塗装など作業が複雑になるでしょうが、このヘッドデザインを採用したYAMAHAはさすがだなと思います。
長く定着しなかったのが残念なのですが。
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指板やフレットエッジに目立ったバリはありませんでしたが、面取りをすることでより手になじむグリップになりそうです。
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特徴的なピックアップとブリッジですね。
このピックアップの中にはアルニコマグネットを使用したJタイプのシングルコイルが2個並んで直列接続されている構造でした。
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このピックアップは単体コイルでも9.5KΩほどの直流抵抗値があり、それが直列なので19KΩほど…
そりゃあパワフルだけど結構ウォームだよなぁと思う仕様。

ロック式でもないのにファインチューナー搭載で、各弦の弦高やオクターブなどが微調整できるオリジナリティあふれるブリッジ。
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一般的な規格ネジかと思いきや、オクターブ調整のネジは特殊サイズなので交換の際には難儀しそうです。
この辺りがYAMAHA純正部品の持つ悩まされる部分ですね。

コントロールキャビティ内では妙に太い配線が余分な長さで押し込まれていました。
グラウンドのハンダ付けはしっかり付いていない部分もあり、過去に一部ハンダ付けの手を入れられたのではないかと推測されます。
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コントロールはジャズベースのような2ヴォリューム&マスタートーン仕様。
トーンノブを引っ張ると各ピックアップがタップされて2シングルのジャズベース的なサウンドになります。
こちらの方が実際のところ使い易いとは思うけどピックアップの特性なのか低音成分が少なくちょっと硬めのキャラクターに感じます。
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ピックアップを取り外すとこのような感じ。
フロントとリアで逆巻き逆位相になるようにワイヤリングされているし、タップした時にもF&Rでハムキャンセル効果が得られるように配慮されていましたので、ピックアップ交換しようとするとバランスを取るのが大変そうですね。
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プラスチックカバーを外して、コイル全体を銅箔テープでシールディングしてしっかりとグラウンドへ接続します。
併せて取り回しが悪いピックアップワイヤーも交換してしまいました。
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コントロールキャビティやピックアップキャビティには全て導電塗料を塗ってグラウンドへラグ端子を用いて確実なワイヤリング。
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オリジナルのポットを取り外す際に熱によるものか、金属疲労か端子が折れたのでヴォリュームポットは新品交換しました。
ハイ落ち対策としてポットの抵抗値を500KΩにする事で、2ヴォリュームの並列合成抵抗が250KΩになるようにしています。

ナット溝の調整と外形を整えて、弦もダダリオのミディアムスケール用を張って適切な巻き具合になりました。
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指板エッジも面取りをしてフレットも磨き、ボディも磨いてワックスをかけたりと奇麗になりました。
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サビのためネジ頭が崩れてしまっていたブリッジのネジ類はステンレスネジに交換。
昔はゴールドパーツにシルバーのネジ?と思ったでしょうが、近年のPRSに見られるハイブリッドカラーを見慣れたせいかあまり違和感はない印象。
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年数の割にはネックに捻じれや波打ちなどの不具合が無くて、低めの弦高でセットできたのでこれからガンガン弾いていけると思います。
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懸念のノイズもシールディングによりほぼ聞こえないぐらいに減少しましたので、ご満足いただけると良いですね。



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FENDER USA HIGHWAY ONE PBの調整&ピックアップ増設
今回はFENDER USA HIGHWAY ONE Precision Bassの調整&ピックアップ増設作業です。
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ブラックパール柄のピックガードに交換されておりました。
塗装が薄く、すぐに擦り切れて使い込んだ味が出そうな感触は好印象な人も多いはず。

ブリッジは同社のバダススタイルの物に交換されてすぐに当店へ入ってきたようです。
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プレベなので、コントロールはスタンダードなヴォリューム&トーンの仕様ですが…
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今回は全体調整作業と共に、このSEYMOUR DUNCAN SMB-4Aというミュージックマンスタイルのピックアップを増設搭載する事になりました。
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部品を全て取り外し、ザグリを入れる位置決めをして、テンプレートを使いサクッと掘りました。
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2ピックアップになるのでコントロールは変更になります。
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スタックポットでボリューム&トーンをまとめ、元々のトーンがあった位置へピックアップバランサーを導入しました。
MMタイプピックアップコイルのワイヤリングをシリーズ/タップシングル/パラレルと切り替えできるようにバランサーとジャックの間へミニスイッチを増設しています。
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ブリッジのボリュームがあるのでかなり近接しているように見えますが、リアに寄せ過ぎないような位置になっています。
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弦を張ってネック反りやオクターブ調整など行い、全体的にワックスをかけて完成です。
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バランサーをはじめ、コントロールレイアウトが変更になっているので暫くは慣れが必要だと思いますが…
多彩なサウンドバリエーションを確保したベースに仕上がったので、レコーディングやライブなど様々な場面で活躍してくれると良いですね。


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