機材の製作や修理作業内容など、ゆっくり適時更新中。
BENJI製STRATOCASTERタイプの調整
熊本にもギタークラフトの工房は数か所ありますが、その中のひとつBENJI GUITAR CRAFT SHOPで作られたストラトの調整です。

私もメインギターにはこのBENJI GUITAR CRAFT SHOPで作ってもらったストラトを使っていまして、兄弟ギターのような気になります。

さて、パッと見た目はサンバーストのストラトですが、22フレットのローズ指板でアルダーボディ、なのにピックガードは白の1プライというFenderの歴史上は無かった仕様です。
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ネックシェイプはオーナーの好みのギターと同じシェイプにしてあるとの事。
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それにしてもバーズアイが見事です。

ネックの木取りもしっかりと目の詰まった良材です。
   DSC08625.jpg
余談ですが、私のストラトのネックもこのような目の詰まり方をしています。

指板のローズウッドは肉厚ですが、エッジは立っていて、握った感触が少し硬い印象です。
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オーナー曰く、ブリッジにはYAMAHA製のシンクロトレモロが搭載されているとの事。
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ピックガードを開けてみました。
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Dimarzio製YJMピックアップが3発搭載されています。

ポットはCTS製250KA、セレクターはCRL製、コンデンサはSBE製オレンジドロップ0.020μFでした。
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詳しく見てみると…
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ハンダ付けの量が少し多めに感じます。
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トーンポットの真ん中の端子はハンダが少し酸化していました。
   DSC08630.jpg
ヴォリュームポットの端子は、ハンダで貼り付けてある状態で穴に通されていませんでした。

ポットなどはFENDER USA準拠の部品を使用していますが、ジャックは国産の(FENDER JAPAN等に付いてくる)部品でした。
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ここもハンダが少し多めですね。

写真を撮り忘れましたが、このジャックはスイッチクラフト製のモノラルジャックに交換しました。

BENJI GUITAR CRAFT SHOPで作られた後に他のリペアショップでブリッジ交換などが行われているので、上記のハンダ付けに関してはどのお店でこのような状態になったのかは定かではありません。

次にボディを見ていきましょう。
   DSC08635.jpg
アルダー2ピースで、目の詰まった良質な材を使用しています。
塗装はVANZANDTよりも遥かに薄いニトロセルロースラッカーが施され、超極薄のため木目が指先で判るほどです。

導電塗料によるノイズ処理のために、キャビティにはやすりで足付けを行ってマスキングをします。
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導電塗料を塗布したら乾燥を待ちます。
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アッセンブリの写真を撮影しておりませんが、配線はBELDEN8503を用いて、ハンダも必要最小限で配線しました。
   DSC08670.jpg
各ポットをつなぐグラウンド線にはAWG18ゲージのOFC単線を使用。
これはいつものStudio GREAM仕様ですね。


ブリッジ部分なのですが、後から取り付けられたYAMAHA製ブリッジはボディセンターラインに対して斜めにずれて取り付けられておりましたので、穴を埋めて開け直します。
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穴埋め中。

飛び出た部分をノミで奇麗に削り落します。
   DSC08668.jpg

正しい位置を測定して穴あけ。
   DSC08669.jpg
1ヶ所での作業写真になっていますが、それでは傾きが整わなかったので、結局3か所修正しました。

ブリッジのイナーシャブロックとブリッジプレートの合わせ面がデコボコしていました。
   DSC08637.jpg
鋳造のバリなどが残っている状態ですね。

平面が出たやすりの上で削って平らにします。
   DSC08638.jpg
ブリッジプレートの裏側も同様に削って、面で接触するように修正を行いました。

サドルには弦による摩耗が見られたので全部ばらしまして…
弦と接するサドル面をひとつずつ紙やすりで磨いて滑らかにしています。
   DSC08671.jpg
組み立て取り付け後。
   DSC08672.jpg
ベースプレートはいつものクロームポリッシュで磨いてコーティングまで行ってから組み付けています。

そして握ると少し痛かった指板のエッジも全て丸めて滑らかになっています。
   DSC08643.jpg
弦を張るとこのような感じです。
   DSC08675.jpg
お預かり時と比べるとエッジが尖っていないのが確認できますね。

先にワックスがけは行っているので、弦を張って調整したら拭き上げて完成です。
   DSC08673.jpg
ノイズも殆ど無くなり、抜けるサウンドに生まれ変わったと感じますね。


今回調整していて感じたのはYJMピックアップ(2012年現在はHS-4という名前に変更されています)はヴィンテージタイプのスタッガードポールピースレイアウトのため、3弦のポールピースが高い(弦に近い)のです。
このポールピースレイアウトは3弦はプレーン弦が主流になった今では、2弦との音量バランスが取りづらく、相対的に2弦が小さく聞こえます。
大音量でドライブさせて弾くとそんなに気にはならないのですが、小音量のクリーンサウンドだとちょっと違和感を覚えてしまいますね…
このピックアップを開発当時、イングウェイ氏がこのポールピースレイアウトの仕様に拘ったからだそうです。


全体調整・ノイズ処理 12000円
ラッカー塗装アップチャージ 1000円
ブリッジ取り付け穴埋め&開け直し修正 5500円
スイッチクラフトMONOジャック 420円
ダダリオ EXL-110弦 630円

合計19550円でした。





暫くは上記の状態で使用されていたのですが、どうにもそのサウンドに納得がいかないとの事で、ピックアップ交換の相談を受けました。

そこでSQUIER JAGMASTERの調整で搭載したWilde USAピックアップの印象が良く、また希望に沿ったサウンドになるのではないかと思い、提案の上でアメリカより取り寄せることにしました。

到着までは何だかんだで注文から1か月ほどかかってしまいました。
   DSC00400.jpg
まずは取り付け前にアッセンブリを再確認。

サウンド比較のため、今回は動画も撮影してみました。

アンプ設定はフラットですが、アンプのチャンネル切り替えのほかに、ギターのピックアップセレクターやボリュームも操作して弾いています。

そして、こちらは取り寄せたピックアップ。
   DSC00398.jpg
各ポジションでポールピースのピッチを微調整してあったり、現代のテクノロジーでノイズレスなシングルコイルサウンドを追い求めた傑作だと思います。

一般的なストラトキャスターに搭載すると、(若干は長めですが)配線を切り揃える必要もなく奇麗に取り纏めて搭載できます。
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グラウンドが独立した3芯仕様なので、配線の仕方で様々なサウンドヴァリエーションを試す事も出来ますね。

ピックガードに搭載後。
   DSC00401.jpg
シリコンチューブが付属しており、一般的なゴムチューブのように経年変化で硬くならないように考えられています。

配線は端子に絡げてハンダ付け。
   DSC00402.jpg

カバーのエッジは丸みを帯びた形状になって、ポールピースが飛び出していないフラットな見た目が当初とは異なる感じですね。
   DSC00406.jpg

そして交換後にアンプセッティングは全く変えずに弾いてみました。

そのサウンドは全く別のギターのように感じるほどでしたが…動画で違いがあまり出ていないように感じたら…それは私の演奏技術のせいです…

私個人としてはYJMピックアップ時のサウンドも嫌いでは無かったのですが、Wilde USAピックアップに交換して弾いてみたら…気持ち良くて、時間を忘れて弾いていました。

破裂寸前の風船のような緊張感を伴いつつ、プリンプリンとしたシルクのような艶のある滑らかな質感と絶妙なコンプレッション。

これで1個5000円しないお値段(2012年11月の相場計算)は驚異的です…
購入をご検討されている方は、今現在はアメリカからの個人輸入となります。
簡単な文面ではありますが当然英語によるやり取りです。
海外からの送料を浮かせるためにStudio GREAMでは注文の取りまとめ発注も行っておりますので、ご希望の方はお気軽にご相談下さい。



お問い合わせは下記メールアドレスまでお気軽にどうぞ♪


Custom Instruments & Repair
Rehearsal Studio
Studio GREAM

mail to → info_gream@ybb.ne.jp
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