もはやヴィンテージアンプ扱いされていてもおかしくはない、国産アンプACETONE。
今回は型番はA3-Bですが、モデルネームは"BASE-3"のオーバーホールです。
1980年前半のアンプなので、30年ぐらいが経過していますがとても奇麗なコンディションです。

スピーカーは交換されていますね。

「トレモロポットが空回りするので、内部を開けて確認したら…トレモロポットから部品が外れて、抵抗から煙が出ました!」
ということで送られてきたアンプです。
以前にオーバーホールをされているそうですが…


内部を見る限りは黄色いコンデンサと電解コンデンサが一部交換されている程度でした。
元々、フィルムコンデンサが使用されているので、交換しなかったとしてもそんなに劣化が激しい部分じゃないのです。
なのに電源部などの消耗が早い部分のコンデンサは手つかずでした。
これが煙が出た抵抗。

焦げていますが、そもそも搭載されている抵抗のワッテージが許容値にギリギリすぎるので、サイズを上げて交換します。
メーカーでの配線そのままなのでしょうが…全体的に配線取り回しが雑ですね。

高圧、低圧、ヒーター、それぞれが干渉しないように、などは殆ど考えられていません。
しかし今回は必要最低限の配線ひき直しのみとなりましたので、大幅には変わっていません。

電源部のコンデンサは一部交換しました。
トレモロは見た目に穴があくのを避けるために部品こそ取りけたままですが、回路上では完全に切り離してありトレモロ動作はしません。
ソケット内部のピン勘合が緩く、すぐに真空管が脱落してしまう状態でしたので、ソケットはセラミックベースのシールド付きに交換しました。

ジャックのガリも酷かったため交換になりましたが、入力インピーダンスは15KΩ程度でレベルは半分程度に落とされるローインピーダンス仕様だったため、高周波ノイズ低減目的以外はレベル減衰が無いように入力部分の定数を変更しました。

真空管ソケットは脱落防止とノイズ防止を兼ねたシールド仕様になりました。

右側のソケットには12AU7を使用しているのですが、元からX7(12AX7の意味)と書かれていました。
ジャックは3つあっても使用しないそうなので、残りふたつは配線を外し、ジャック穴にはキャップをして塞いでおきました。

そして、この作業見積もりを出している時に「同じアンプをもう一台入手したから送ります。併せてチェックと修理をしてください」と連絡を受けて…
届いたアンプを確認するもノイズすら出ない!
早速シャーシを取り出してみると…

電源部のコンデンサが破裂している…!!
コンデンサを交換する際に配線をミスして組んだようですね。

その他に色々と頑張った跡は見受けられますが、部品の再利用も怖いので電源部分は殆ど作り直す事にしました。
このアンプのヴォリュームポットの2番端子が壊れており、完全に回路から浮いてしまっていたので交換する事にしました。

電源部のコンデンサを取り付ける際に新たにラグ板を増設して取り回しを変更した跡がありますが…

グレーのコンデンサは、穴は開いていませんが内部破裂で壊れてしまっていました。
(よく見ると黒いゴムキャップ部分が膨れています)
こちらの真空管ソケットも緩かったので交換しますが、以前にハンダをやり直した跡があり…とにかく汚いハンダ付けでしたのでやり直します。

新しく使用するコンデンサの固定バンドの取り付け穴位置が合わなかったので、元々のネジ穴よりも外側に新たに穴を開けてネジ山を立てました。
(赤丸内の左側がオリジナル、右側が新設の穴)

コンデンサ端子がシャーシに干渉しない位置で取り付けたらラベルがトランス側に向いてしまいました。

見た目的には、このアングルでコンデンサのメーカー名や容量値などが見える方が格好良いですよね。
そんなこんなでオーバーホール完了。

基本的には1台目と同じ内容ですが、こちらはトレモロ回路に故障は無かったので使えるように残しました。

写真は撮り忘れていますが、出力管のヒーターライン(青色の線)の取り回しが気に入らなかったので、後に2台ともやり直しています。
整流用のダイオードも交換し、より安定した出力が得られるように配慮しました。

スピーカー端子はハンダ付けだったものをファストン端子を圧着して取り付け。

メンテナンスで外す時にも楽ですし、スピーカー端子に熱ダメージを与えなくて済みます。
電源ケーブルに使用されていたゴム製のブッシュは経年劣化で切れて脱落してしまっていたので、しっかり止まる樹脂製ブッシュに交換しておきました。

シャーシをキャビネットへ固定する4本のネジには錆や曲がり、欠品が見受けられたためステンレスネジに2台とも交換しておきました。

最後に2台をスタジオ内で動作チェックして経過を見ます。

問題無さそうなので、梱包して発送となりました。
1台目>
全体チェックと部品交換修理 15000円
(トレモロ回路は配線を取り外し)
真空管ソケット交換作業 5000円
インプットジャック交換 1000円
2台目>
全体チェックと部品交換修理 15000円
真空管ソケット交換作業 5000円
インプットジャック交換 1000円
電源部コンデンサ・ダイオード全交換 25000円
VOL.POT交換 1500円
合計68500円でした。
これから快適に使用できると良いですね。
また、1台目のアンプは電源部の大きなコンデンサの交換を先々行った方が良いと思います。
お問い合わせは下記メールアドレスまでお気軽にどうぞ♪
Custom Instruments & Repair
Rehearsal Studio
Studio GREAM
mail to → info_gream@ybb.ne.jp
今回は型番はA3-Bですが、モデルネームは"BASE-3"のオーバーホールです。
1980年前半のアンプなので、30年ぐらいが経過していますがとても奇麗なコンディションです。

スピーカーは交換されていますね。

「トレモロポットが空回りするので、内部を開けて確認したら…トレモロポットから部品が外れて、抵抗から煙が出ました!」
ということで送られてきたアンプです。
以前にオーバーホールをされているそうですが…


内部を見る限りは黄色いコンデンサと電解コンデンサが一部交換されている程度でした。
元々、フィルムコンデンサが使用されているので、交換しなかったとしてもそんなに劣化が激しい部分じゃないのです。
なのに電源部などの消耗が早い部分のコンデンサは手つかずでした。
これが煙が出た抵抗。

焦げていますが、そもそも搭載されている抵抗のワッテージが許容値にギリギリすぎるので、サイズを上げて交換します。
メーカーでの配線そのままなのでしょうが…全体的に配線取り回しが雑ですね。

高圧、低圧、ヒーター、それぞれが干渉しないように、などは殆ど考えられていません。
しかし今回は必要最低限の配線ひき直しのみとなりましたので、大幅には変わっていません。

電源部のコンデンサは一部交換しました。
トレモロは見た目に穴があくのを避けるために部品こそ取りけたままですが、回路上では完全に切り離してありトレモロ動作はしません。
ソケット内部のピン勘合が緩く、すぐに真空管が脱落してしまう状態でしたので、ソケットはセラミックベースのシールド付きに交換しました。

ジャックのガリも酷かったため交換になりましたが、入力インピーダンスは15KΩ程度でレベルは半分程度に落とされるローインピーダンス仕様だったため、高周波ノイズ低減目的以外はレベル減衰が無いように入力部分の定数を変更しました。

真空管ソケットは脱落防止とノイズ防止を兼ねたシールド仕様になりました。

右側のソケットには12AU7を使用しているのですが、元からX7(12AX7の意味)と書かれていました。
ジャックは3つあっても使用しないそうなので、残りふたつは配線を外し、ジャック穴にはキャップをして塞いでおきました。

そして、この作業見積もりを出している時に「同じアンプをもう一台入手したから送ります。併せてチェックと修理をしてください」と連絡を受けて…
届いたアンプを確認するもノイズすら出ない!
早速シャーシを取り出してみると…

電源部のコンデンサが破裂している…!!
コンデンサを交換する際に配線をミスして組んだようですね。

その他に色々と頑張った跡は見受けられますが、部品の再利用も怖いので電源部分は殆ど作り直す事にしました。
このアンプのヴォリュームポットの2番端子が壊れており、完全に回路から浮いてしまっていたので交換する事にしました。

電源部のコンデンサを取り付ける際に新たにラグ板を増設して取り回しを変更した跡がありますが…

グレーのコンデンサは、穴は開いていませんが内部破裂で壊れてしまっていました。
(よく見ると黒いゴムキャップ部分が膨れています)
こちらの真空管ソケットも緩かったので交換しますが、以前にハンダをやり直した跡があり…とにかく汚いハンダ付けでしたのでやり直します。

新しく使用するコンデンサの固定バンドの取り付け穴位置が合わなかったので、元々のネジ穴よりも外側に新たに穴を開けてネジ山を立てました。
(赤丸内の左側がオリジナル、右側が新設の穴)

コンデンサ端子がシャーシに干渉しない位置で取り付けたらラベルがトランス側に向いてしまいました。

見た目的には、このアングルでコンデンサのメーカー名や容量値などが見える方が格好良いですよね。
そんなこんなでオーバーホール完了。

基本的には1台目と同じ内容ですが、こちらはトレモロ回路に故障は無かったので使えるように残しました。

写真は撮り忘れていますが、出力管のヒーターライン(青色の線)の取り回しが気に入らなかったので、後に2台ともやり直しています。
整流用のダイオードも交換し、より安定した出力が得られるように配慮しました。

スピーカー端子はハンダ付けだったものをファストン端子を圧着して取り付け。

メンテナンスで外す時にも楽ですし、スピーカー端子に熱ダメージを与えなくて済みます。
電源ケーブルに使用されていたゴム製のブッシュは経年劣化で切れて脱落してしまっていたので、しっかり止まる樹脂製ブッシュに交換しておきました。

シャーシをキャビネットへ固定する4本のネジには錆や曲がり、欠品が見受けられたためステンレスネジに2台とも交換しておきました。

最後に2台をスタジオ内で動作チェックして経過を見ます。

問題無さそうなので、梱包して発送となりました。
1台目>
全体チェックと部品交換修理 15000円
(トレモロ回路は配線を取り外し)
真空管ソケット交換作業 5000円
インプットジャック交換 1000円
2台目>
全体チェックと部品交換修理 15000円
真空管ソケット交換作業 5000円
インプットジャック交換 1000円
電源部コンデンサ・ダイオード全交換 25000円
VOL.POT交換 1500円
合計68500円でした。
これから快適に使用できると良いですね。
また、1台目のアンプは電源部の大きなコンデンサの交換を先々行った方が良いと思います。
お問い合わせは下記メールアドレスまでお気軽にどうぞ♪
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Rehearsal Studio
Studio GREAM
mail to → info_gream@ybb.ne.jp
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