機材の製作や修理作業内容など、ゆっくり適時更新中。
Tom Anderson Drop Top Classicの調整
コンポーネントギターとして、有名ミュージシャンの使用で有名になったハイエンドギターブランド Tom AndersonのDrop Top Classicの調整です。

Studio GREAMのユーザーであるRoddy氏が恋焦がれて先日入手したギターです。
オリジナル状態でも素晴らしい仕上がりですが、ノイズが気になるという事で更なるノイズ処理や調整を行いました。

   DSC05612.jpg

Deep Ocean Blueという深い青い海を写し取ったかのような美しいカラーです。

トップの杢目を見やすくする為に明るく撮影してあります。
   DSC05617.jpg

ボディバックはブックマッチで木取りされた軽量なアルダーです。
   DSC05632.jpg
一般的には見慣れない小さな長方形のパーツは後ほど記述します。

ヘッドもボディと同色で塗装された”マッチングヘッド”です。
   DSC05622.jpg
   DSC05638.jpg
このシリアルナンバーをオフィシャルHPで入力検索するとこのギターのデータが引き出せます。
serialSearch←Tomを所有している方はシリアルナンバーを入力してみて下さい。

この今回のギターの場合はこのように表示されます。
Results for Serial Number - 04-02-10P

If neck Back Shape field comes up blank it denotes the standard neck back shape for that particular model guitar, i.e. Even-Taper (T/A Standard), Happy Medium (Cobra & Atom Standard), Crowdster Standard, or Baritom Standard.

Model - Drop Top Classic
Body Finish - Deep Ocean Blue with Binding
Body Wood - Quilted Maple Top on Alder
Neck Wood - Hard Rock Maple, Rosewood Fretboard
Neck Finish - Matching Headstock, Satin Back
Nutwidth - 1 5/8 in
Frets - Heavy
Back Shape - Even Taper
Hardware - Chrome
Bridge - Sunken Floyd Rose
Pickguard - White Pearloid
Pickups - SF2R SF2 HN2+
Switching - Switcheroo
Strings - .009-.042 Elixir strings
Comments -

BFTS


Tom Andersonで秀逸なのはこのネックやボディなどのエッジ処理や全体の重量バランスなんだと思います。
   DSC05626.jpg
手作業で一つずつ仕上げられたフィンガーボードエッジはストレスの無い運指が出来ますね。
実はStudio GREAMでお預かりしたギターには(削る量はもう少し少ないですが)以前からこの処理を取り入れています。
ネックが実際よりも小さめに感じるようになります。

   DSC05635.jpg
そのネックをボディに2ボルトでジョイントするというオリジナルの方法ですが、ボディ側もネック側も素晴らしい加工精度で作られていますので横にずれたりする心配は無いですね。
ヒールも薄く、ハイポジションも演奏しやすいです。


このコントロール類が見慣れない方もいるかとは思いますが、これはSwitcherooというピックアップの選択スイッチです。
   DSC05628.jpg
   DSC05642.jpg

各ピックアップのSERIES/OFF/PARALLEL(SPRIT)を切り替えます。
このTom Andersonのピックアップはそれぞれに2個のコイルを組み合わせたハムキャンセル構造です。
シングルコイルに見えるピックアップも内部ではコイルが縦積みになっており、直列か並列かを選択することで幅広いトーンを獲得できます。
一般的な5wayレバースイッチでは出来ないような、フロント&リアや、フロント&センター&リアの全てを鳴らすという事も出来る訳です。
更に、ピックアップセレクトがどんな状態でも一発でリアのハムバッカーへ移行するソロスイッチも付いています。

ボディ側に目を移すとカーボンフィラーの導電塗料が塗られていました。
   DSC05643.jpg
隅々までしっかりと塗られており、F社やG社の適当な!?作業とは全く違います。

ピックガード側には銅のシートが貼られており、低周波ノイズにしっかりと対策が施されていました。
   DSC05640.jpg
貼った後にカッターで余分な部分を切り取った跡が残っていた点がハンドメイド感たっぷりでした。

コントロールにはスライドスイッチが見えますね。
   DSC05641.jpg
これを動かして各ピックアップごとにPARALLELとSPRITのどちらで鳴らすかを決めます。
その設定のための小窓を塞いでいたのがボディバックの小さな白いパネルなのです。

ボリュームポットはALPHA製の小型ですが、それより何よりハンダが山盛り使われていました。
   DSC05644.jpg
金属ノブと金属シャフトポットの使用時に起こる、カサカサノイズを無くすためにポットとノブを交換します。
このポットにはCTS製の選別品を更にStudio GREAMで抵抗値を測ってマッチングしたものを使用しています。
   DSC05647.jpg
コンデンサはオリジナルと数値は同じですがポリプロピレンの小型タイプを採用。
言ってしまえばオレンジドロップの耐圧が低いバージョンです。
より抜けの良いトーンを狙っています。

ハンダは最小限の使用に留めています。
   DSC05649.jpg

導電塗料を塗り直した状態です。
銅粉末に銀でコーティングしたフィラーを使っています。
カーボンフィラーに比べると遥かに高額ですが、ノイズの減り方は歴然ですよ。
   DSC05652.jpg

このピックアップキャビティが何かかの顔のように見えたので撮影してみました。
   DSC05653.jpg DSC05654.jpg
実際にはピックアップ下のネジの出っ張りをかわすための加工なのですが、そういう所まで拘って作っているのは感心しますね。


この他にもグラウンドの配線をやり直したり、ジャックをRoddy氏の定番であるステレオジャックに交換したりといった作業を行ったのですが、写真を撮影し忘れました。


今後、Roddy氏と末永く歩んでくれる事と思います。



調整&ノイズ処理 \12000
ポット交換 2ヶ \2100
ナイロンスリーブ付きメタルノブ 2ヶ \1050

合計\15150でした。






以前、上記のようにノイズ処理を施したギターでしたが、ピックアップがイマイチ納得がいかないとの事で、EMGを載せる事になりました。

しかしパッシブに戻したい事も出てくるかもしれない。
その度にスイッチやらピックアップやらを交換しているとお金も手間もかかるし気軽に試せません。

それでピックガードを新たに用意してEMG用にしよう!という事で話がまとまりました。

ピックガードは純正品を入手する事が出来なかったので、オリジナルピックガードから型を起こして作成。
   DSC07158.jpg
全く同じピックガード材が無かったため、若干の厚みの差はありますが、ほぼ同じルックスを保つ事は出来たと思います。

コントロールのアップ。
   DSC07146.jpg
クリアノブは高級感を狙って付けてみましたが、後々は交換する事になると思います。
トグルスイッチはピックアップセレクトがショートハンドル、リアハムダイレクトスイッチは瞬間の操作ミスを防ぐためノーマルハンドルになっています。

内側はこのような状態。
   DSC07152.jpg
EMG-Xシリーズはハンダ不要のピックアップなのですが、今回は特殊なセレクタースイッチ構造のため、いかにオリジナルを残しつつ限られたスペースに収めるかで苦労しました。
一般的な四角い9V電池すら入らなかったので、単5サイズで12V取れる特殊な小型電池で電源供給しています。

更に、プリアンプを駆動する電圧を2種類用意しました。
   DSC07129.jpg
この基板で9Vと23Vの2種類を作りだしています。

裏側の小さなプレートを外して見える白いスイッチを押す事で、電圧を9V/23Vと交互に切り替えが出来るようになっています。
   DSC07140.jpg

アクティブタイプとパッシブタイプの比較。
   DSC07149.jpg DSC07156.jpg
このそれぞれのピックガードにはロック付きコネクターが取り付けてあり、差し替えるだけで交換が出来るようになっています。
   DSC07148.jpg
弦を緩めたりピックガード取り付けネジを外す必要はありますが、ハンダ不要でサウンドを大幅に変えられるので便利だと思います。

EMGを載せた表情はこのように精悍な雰囲気です。
   DSC07142.jpg
圧倒的にローノイズになったDROPTOP CLASSICはこれからもRODDYを支えていってくれることでしょう。

ピックガード作成 12000円
EMG組み込み・昇圧回路作成 12000円
セレクタースイッチ、電池など部品一式 4200円

そのRODDY氏が参加しているVRAINのライブ映像が配線されました。

この頃はまだEMGを搭載前のパッシブピックアップです。





上記のような改造を2011年9月に施して使用していたRoddy氏ですが、この小型電池と2種類の電圧発生回路では消費が激しく、頻繁に電池交換が必要でした。
   IMG_0194.jpg
当時はボディ切削加工は極力行いたくないという意向だったため、掘らないで使用できる小型電池仕様にしておりましたが、今回は9Vバッテリーを最小限のボディ加工で搭載する事で話がまとまりました。

既に開いている開口部を電池とバッテリースナップが入るギリギリのサイズで拡大し、裏蓋を作成して落とし込み加工を施しました。
   IMG_0195.jpg
そして電源の昇圧回路も新設計で作り直して、より省電力になりました。
   画像 004
新品電池のおよそ9.7V程度の入力で18.2V程度をピックアップや回路に供給しつつ、電池の消費電流は4.7mAに抑えました。
(BOSSのオーバードライブSD-1程度の低消費電流です)

作成した裏蓋にバッテリーホルダーを強力両面テープで貼り付けて固定しました。
   画像 005
バッテリーホルダー部分だけアルミテープを切り取っています。

内部のベージュ色の収縮チューブで保護されているのが小型昇圧基板です。
   画像 006

裏蓋を取り付けて完成!
   画像 007
トレモロスプリング部分のパネルはオリジナルなので、経年で色焼けが発生していますが、約1年半前に作成したピックガードとは色合いが揃っています。

2013年7月にNEW ALBAMをリリースするVRAIN!
VAPTISM of MARSVAPTISM of MARS
(2013/07/17)
VRAIN

商品詳細を見る

Studio GREAMもSPECIAL THANKSとしてクレジットしていただいているとの事。
本当にありがとうございます。
発売日が待ち遠しいですね。



今後更なるRoddy氏の活躍を期待しています。


お問い合わせは下記メールアドレスまでお気軽にどうぞ♪


Custom GUITARS & EFFECTS,Repair
Studio GREAM

mail to → info_gream@ybb.ne.jp
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コメント
コメント
いつもいつもお世話になっております。
素晴らしい処理でパワーアップしたDTCですが、今度実戦投入します。
本当に類を見ない完成度です。
今後ずっと使い続けようと思ってます。
2010/09/04(土) 16:41:28 | URL | Roddy #- [ 編集 ]
Roddyさん
いつもありがとうございます。
高級ハイエンドギターでも、私の作業をする余地が残されている事に今後の活路が見えた気がします。
それにしても、以前のPRSといい、このトムといい、良いギターが手元に巡ってきますねぇ。
そのアンテナを広げ続ける努力は見習わねばと思います。
実戦で活躍するトーンを近々、肌で感じに行きますね。
2011/12/16(金) 21:00:19 | URL | Moo #- [ 編集 ]
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