機材の製作や修理作業内容など、ゆっくり適時更新中。
Aria Pro II製Mockingbirdの大幅な調整
以前からStudio GREAMをご愛顧いただいている方よりAria Pro II製Mockingbirdの調整を承りました。

私が東京を離れる直前にお預かりしたギターです。
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何でも、今は亡きお母様より学生時代に買ってもらった思い出のギターだそうで、とても弾き込んだ多数の傷が輝かしい状態でした。

本家のB.C.RICHにもありますが、この多数のコントロールはノスタルジックでもあり、逆に今となっては新鮮でもありますね。
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搭載されたブースターは暴力的なまでにゲインアップしてくれます!

コントロールキャビティ内部は…
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お世辞にも奇麗とは言いにくく、今にも切れそうだったり、ショートしてしまいそうな危ない配線もありました。
黒いビニールテープで巻かれた物がブースターの基板です。

ラッカーで塗装されたネック裏は、スタンドのゴムと反応した溶けが発生し、更に汚れが擦り込まれており、手触りが良く無い状態でした。
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フレットも減りが見られるので、これは要擦り合わせですね。
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歴戦の使用を物語るヘッド先端の傷
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1弦側のピックアップ間にはピックが当たり、塗装が削られてしまった部分もありました。
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今回はこのギターを今後ずっと所有していくためにオーバーホールを行う事になりました。
・このギターが新品だった頃に近いナチュラルカラーへ傷を消しつつリフィニッシュ
・安心して保管・使用が出来るようにポリウレタン塗装に変更
・コントロールからは、電池を使用するブースターを撤去し、スイッチの組み合わせによって多彩なサウンドと操作性を獲得する
・フレットすり合わせとナット&ブリッジの調整
・Studio GREAMでお馴染みのノイズ処理


上記のような依頼内容でした。


そしてその後の引越しのドタバタで、ちょっと作業しては立ち止まり…
組み込みに入れた時には3月も末になってしまっていました。
まずはリフィニッシュ後の姿をご覧ください。
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決して厚過ぎないウレタン塗装の艶や仕上がりはハッキリ言って新品以上です!
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ピックによってえぐられたボディのキズや、ヘッド先端の欠けもしっかりと補修してあります。

フレットもこの通り、チュルンチュルンでピッカピカです!
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部分的な減りが多かったのでフレット高さは少し低くなってしまいましたが、元々がジャンボフレットでしたのでペタペタで弾きにくいという感じでは全然無いです。

この塗装された状態に傷を付けないようにいつも以上に慎重にマスキングを施します。
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導電塗料を塗る際に飛沫を飛ばしてしまってはいけませんので念入りに保護しました。
(いつもやっている事と同じなのですが、より気を使ったのは確かです)


そしてオリジナル状態のピックアップは直列ハムバッカーか、片側のコイルをキャンセルしたシングルコイルを選択するスイッチが搭載されていました。
しかしどうせならそれに加え、二つのコイルを並列につないだパラレルモードも使えるようにしてはどうだろうか?と提案させていただきました。

提案時は「このピックアップは当然4芯だろう」とタカをくくっていたのですが…
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実はタップ線(白)が引き出された赤白黒の3芯構造で、かつベースプレートのグラウンドと黒線が内部で接続されている構造だったのです!
(意味不明な方もいらっしゃるかとは思いますが、とにかくこのままでは目的が達成できない状態だった訳です)

という訳で、ピックアップの配線を交換し、各コイルから配線を取り出す4芯+グラウンド構造に変更する事にしました。
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慎重にバラして…
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一般的なピックアップ用4芯シールド線を在庫していなかったため、贅沢にもBELDEN1192の被覆を剥いて使用しました。

各ピックアップの巻き始めと巻き終わりに各線をハンダ付けしていきます。
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勿論、取り付け時に慌てないようにしっかりとメモを残しておきます。

マグネットとコイルなどの隙間は埋めつつ、コイルの外周は保護のためにアセテートテープで巻いて組み立てます。
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これをフロントとリアそれぞれのピックアップで行います。

外側の網線はコントロールキャビティ内からは被覆を被せて絶縁します。
また、各ピックアップキャビティはすずメッキ線でコントロールキャビティ内に導き、グラウンドに接続してあります。
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続いて取り外したペグをクリーニングします。
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グローバーのインペリアルボタンがゴージャス!
しかし経年で汚れが溜まり、艶も無くなっていましたので磨きました。
使用したクリーナーはコレ!
TURTLE WAX / Chrome Polish Mini tw_cheromepolishmini.jpg

これで金属パーツを磨くと表面にコーティングもされるので艶出し&保護はバッチリです。
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ちょっとピンぼけ気味ですが、クリーニング後↑

さて、次は電装系に取り掛かります。
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これはオリジナルのブースターと、バリトーン用のコイルが搭載された基板。
今回はブースターは撤去しますが、バリトーンはアレンジを加えつつ使用するので、このコイルだけ取り外しました。

そしてボディから部品の穴位置を写し取って、段ボールに部品が留まる穴を開けた上で主要な配線を先に行っておきます。
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こうする事で狭いキャビティ内で配線にコテを当ててしまい被覆をうっかり溶かしてしまう事も無くなりますし、フラックスが飛散して塗装に傷を付ける事も防げます。
黒いテープが巻かれた基板はサイズこそオリジナルと同じですが、バリトーン専用回路としてワンオフで作成しました。



半完成のコントロールアッセンブリをボディに搭載したら、ブリッジアースとピックアップの配線を行う程度の作業で完成します。
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ピックアップの位相問題で危うくドツボにハマりかけましたが、ハンダ付け前にしっかりと調べて図面も書いたので間違う事無く作業完了です!

コントロール部分はポット変更に伴い、ノブも変わっています。
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センターのメタルプレートが若干ですが小さくなって、白いドットポイントだったのがラインに変わっています。
ピックアップセレクターも金属ノブタイプに変更しました。
電装系で再利用したのは先述のコイルとバリトーン用ロータリースイッチぐらいで、残りは全て新品交換です。


そんなこんなで生まれ変わったモッキンバードの全体写真です。
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ヘッドの艶がまた素晴らしい!
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ついつい照明を反射させた状態で撮影してしまいます(笑)

ボディバックにあったバックル傷も奇麗さっぱり無くなってます。
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リフィニッシュや改造は敬遠される方もいらっしゃるとは思いますが、塗装が変わっても部品が変わってもこの楽器と共に紡いだ思い出は変わらないと思います。
オーナーは「このギターを死ぬまで使いたいし、もし自分の子供がギターを弾く事になったら受け継いでもらいたい。」
そんな思いを語りながらStudio GREAMに預けてくれました。

そういう話に弱いんですよ、私。
ついつい気持ちが深く入ってしまいます。
でもこの届いたハードケースを開けたらきっと喜んでもらえる仕上がりになったと自信を持って思えます。

いつかまたお会いした際には、このギターのその後を伺いつつお酒が飲めれば良いなと思います。


リフィニッシュ/ナチュラル(ポリウレタン/ウレタン下地)傷・打痕修正含む  ¥60,000
全体調整・ノイズ処理/エレキギター  ¥12,000
追加オプション/スルーネック  ¥1,000
フレットすり合わせ(全体調整時特価)  ¥4,000

<交換部品>
TOCOS 500KA ¥1,050/個  3 個  ¥3,150
メタルトップノブ ¥210/個  3個  ¥630
ピックアップセレクター用3WAYトグルスイッチ  ¥2,100
2WAYミニスイッチ/VARITONE用 ¥525
3WAYトグルスイッチ/ピックアップTAP用 ¥1,050/個  2 個  ¥2,100
スイッチクラフトMONOジャック  ¥420

合計¥85,925でした。


この度は引越しの絡みで長らくお預かりする事になってしまいましたが、ご依頼いただきありがとうございました。



…しかしかかった時間を考えると利益は殆ど無いな…また経理に怒られちゃうこと必至(笑)



お問い合わせは下記メールアドレスまでお気軽にどうぞ♪


Custom Instruments & Repair
Rehearsal Studio
Studio GREAM

mail to → info_gream@ybb.ne.jp
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コメント
コメント
ありがとうございました!
こんばんは!

このギターを送り出した時は、くたびれた中年男の様なコンディションでしたが、初めてこのギターを手にした時以上の素晴らしいコンディションで今日、帰ってきてくれました。

フレット、ノイズ処理、ブリッジ調整、完璧だと思いました。
こんなに弾きやすいギターだったかなと、ビックリしましたよ。

記事でも紹介していただいた通り、私にとってとても大切なギターなので、これからもずっと使っていくつもりです。

開業直前の忙しい時にお願いして、申し訳なかったと思いますが、とてもいい仕事をして下さって感謝しています。

これからもよろしくお願いします。
2012/04/02(月) 23:02:50 | URL | てつお@千葉県市川市 #Iob/sSzg [ 編集 ]
コメントありがとうございます
この度はありがとうございました。
喜んでいただけたようで何よりです。

自分としても納得の仕上がりでしたので、これからまた使っていただければ幸いです。
またどうぞよろしくお願い致します。
2012/04/05(木) 11:27:30 | URL | Moo #- [ 編集 ]
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