機材の製作や修理作業内容など、ゆっくり適時更新中。
Electro-Harmonix BIG MUFF π(Rams Head)の修理とモディファイ
今回はElectro-Harmonix BIG MUFF π(Rams Head)の修理とモディファイ作業です。
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時期によって部品定数や文字色やノブなど様々な違いがあるBIG MUFFですが、その中でも人気の高いRams Head期のものです。

音量が上がらない、との事で修理の依頼をいただきました。
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中は基本的にオリジナル部品のようですね。
トランジスタには2N5088が使用されている個体です。
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4つある電解コンデンサ(入出力デカップリングと、増幅段でダイオードと直列に入っているフィルタ)が全てNGになっていました。

1uF(=1000000pF)のコンデンサを取り外してチェックすると、コンデンサ成分は0で、2.3Vも電圧降下するダイオード的な挙動を示したり…
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大幅に容量が抜けてしまった状態だったり…
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測定出来ない破損状態だったりと、4つとも全てダメでした。
その他の抵抗やトランジスタ、ダイオードなども全て測定して、問題無しを確認しました。

今後の不具合が出にくいように、メタライズドフィルムコンデンサで置き換えました。
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出力段のコンデンサだけは容量が大きかったため電解コンデンサであるMUSE FGを使用しました。

このペダルは電池のみの電源供給ですが、電池のON/OFFスイッチが搭載されています。
(昨今のペダルはINPUTジャックにプラグを差し込むと電池がONになる機能を持たせてある事が多い)
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一般的なDC9Vのアダプターも使えるようにしたい、との事で、このスイッチを撤去してDCジャックを増設しました。
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アダプターが使えるようになると、極性間違いや電源ノイズに起因する問題対策のために、保険も兼ねてパスコンとダイオードは電源ラインに必ず入れます。
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IN/OUTジャック、バッテリースナップ、フットスイッチ交換を行い、ワイヤリングもトゥルーバイパスに変更しました。
フットスイッチの右側には基板が増設されていますが…

スイッチ交換と共にLEDも設置したのでした。
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「LEDの穴あけ位置もお任せします」と一任されたので、元々のデザインを壊さずにLEDを設置出来るように考えた結果、ここになりました。
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エフェクトONで眩しすぎないぐらいの明るさで点灯するように流す電流を制限していますので、消費電力もごく僅かです。
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サウンドも轟音というか爆音というか、厚い音の壁が飛び出してくるようなキャラクターが復活しました。
アダプターでも駆動出来るようになり、(穴あけ加工などは躊躇する事もありますが)コレクターではなくプレイヤーには嬉しい仕様になったと思います。



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FENDER JAPAN JM66Bの全体調整・ノイズ処理
今回はFENDER JAPAN JM66Bの全体調整・ノイズ処理です。
バインディング付きネックとブロックポジションマークが印象的なモデルです。
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詳細にはカスタマイズされている内容は知らないままに、弾いてみて印象的なサウンドだったので購入をされたとの事。

スタンダードなGOTOH製SD91ペグが搭載されていましたが、このオーナー様の定番スペックであるロック式ペグへ交換をしていきます。
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ナット溝には少し荒れが見受けられましたので、溝底面の研磨と外形も磨いて輝かせていきましょう。
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フレットエッジや指板エッジはF/J定番仕様ですので、何度も出てきているエッジ面取りを行って柔らかい握り心地にしていきます。
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ジャズマスター&ジャガーで問題になるスパイラルサドルブリッジですが、弦がサドルに乗って下向きに力がかかる角度が浅いという問題もあります。
今回はサドルを交換する事で弦ズレに対応していきます。
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ピックガードを開けてみると…
導電塗料が塗られており、元々なのか前オーナーによるカスタマイズによるものなのか…しかし丁寧な仕事がされていて好印象でした。

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部分的に塗り忘れがあったのですが、今回は全て落として塗り直す事になりました。

ピックガード側のアッセンブリは部品や配線が交換されていましたが、素晴らしい仕事がされていました。
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しかし、ヴォリュームやトーンでサウンドキャラクターが変えにくいという不満点も伺っておりましたので、部品交換と可変カーブの変更で対応していきましょう。

ブリッジのアース線はこのようにテープで固定されていました。
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個人的にはこのひと手間を惜しまない姿勢に共感します。

そんな訳で、炭素系導電塗料を落として、銅系導電塗料を塗り直しました。
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ピックガードアッセンブリは部分的にグラウンド配線をやり直したりしましたが、概ね踏襲しています。
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スムーステーパーとグレースバケットトーン回路の採用もStudio GREAMの定番です。
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ペグはSD91からSDS510-MGに交換となりました。
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精度が高く、滑らかなチューニングが可能な510グレードは一度使うと病みつきになります。
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ナット溝の磨き上げと、外形も整えて、アーム使用時に弦がナットに引っかかる要素を極力排除しています。
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フレットやバインディングのエッジも定番の面取りと磨き上げを行ってあります。
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サドルはRETROTONEの溝入りブラスタイプに交換となりました。
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オクターブ調整ネジはプラス頭だとドライバーの角度的にネジが回しにくいので、六角レンチで回せるステンレスネジにして、ボールポイントで回すとオクターブ調整も楽に出来ます。

ネック仕込みを調整したり、角度が付き過ぎているアームバーをちょうど良い角度に曲げ直したり、全体的にワックスをかけたり…その他に細かい事を色々やって、無事完成しました。
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納品後に嬉しい感想をいただけまして、いつも一生懸命やって良かったなと感じます。

フレット交換時に指板Rを7.25から9.5ほどに出来るともう少し弦高も下げれてプレイアビリティも向上するかと思いますので、沢山弾いていってもらえると良いですね。



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MUSICMAN STINGRAYの全体調整&プリアンプ交換
今回は凄まじいルックスのMUSICMAN STINGRAYの全体調整&プリアンプ交換です。
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お預かり時にコントロールプレートはネジ止めされていたのですが、見積り作業を行う時に開けてしまったのでマスキングテープで仮止めした状態になっています。

ヘッドにはタバコを挟んでワザと焦がしたような跡がありました。
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ネックポケットの形状がガタガタになっていて、ブリッジサドルを一番下げてもこレぐらい高い弦高でした。
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ブリッジもサビやくすみが目立つため、全てバラして磨いて組み直します。
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ボディは元々は茶色がかった赤系シースルーカラーだったと思われますが、オーナーご自身でホワイト塗装と傷付け&焼き加工とを施して凄まじい唯一無二のルックスになっています。
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バッテリーボックスの蓋を留めているネジは、打たれていたアンカーは抜ける状態だし、ネジは合わない物を無理やり入れてあって補修に難儀しそうです。
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ボディに塗装をした際にネックポケットをマスキングせずに塗装されており、ネックは簡易的に接着されたような状態でした。
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平面も出ていないので、この部分の余分な塗装をしっかりと落として、平面を出し直します。

コントロールは1ボリュームと2BAND EQというオールドスタイルですが、現行のモデルは3BAND EQとサイドジャックというレイアウトになっていますね。
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今回はプリアンプも含めて電装系は全て交換するため、部品を取り外していきます。

ネックポケットの平面出しや、コントロールキャビティの拡張ザグリ、ピックアップキャビティ内の塗料除去を行いました。
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キャビティ内には深さ方向も調整しつつ、部分的に段付き加工も行っています。
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キャビティ内には導電塗料を塗って、アッセンブリを組み合わせました。
ピックアップはVillexのMMタイプを搭載しましたが、特有のパッシブミッドカットコントロールは今回は搭載を見送りました。
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ESPのcinnamonプリアンプを搭載したいとの事で、このケースを納めるためにはキャビティ内をザグるしかなかったのです。
コントロールはヴォリュームと2BAND EQは同じなのですが、ジャックの近く(内側)に設置したミッドコントロールポット、ベースポットの背中に設置されたプリアンプのゲインコントロールを用いて、キャラクターのプリセットを詰める事が可能です。
ミッドをいじれるようにしたい場合はサイドジャック化する事も出来ますし、電池ボックス部にトリマーで移植する事も出来るので、ひとまずこの仕様で使ってもらって今後変更するか考えましょうという事になりました。

ブリッジにはサビが激しかったので、全てバラしてネジ類は浸透潤滑剤に浸けたり、ブルーマジックで磨いたり…
いつもの作業を行って組み上げました。
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ミュートの板バネは使っていないのでしっかりと締め込んでありますが、外してしまっても良さそうな…
サドルを一番下まで下げても高かった弦高でしたが、ネックポケットの加工を行った事で適正なサドル高さを確保出来るようになりました。
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ダンロップのロックピンを取り付けたい、と持ち込みいただきましたがネジはありませんでした。
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一般的なネジだと頭が大きすぎて入らないので、グラインダーでネジ頭の外形を削ってピンに収まるように加工して使用します。

ボディ側のネジ山もグズグズになっていたので一度大きく穴を開けて、ハードロックメイプルのプラグを埋め込んでからストラップピンを取り付けしました。
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2か所とも同様の作業をしておりますが、取り付けた状態では埋め木が見えないように配慮して作業しています。

フレットや指板のエッジもいつものように面取りを行い、フレットもシリコンコーティングでピカピカになっています。
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ワックスがけしても殆ど艶は出ませんが(笑)
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全体的に綺麗になっていますし、演奏性も良くなったので、これからガンガンと使っていただけると嬉しいですね。




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Stewart-MacDonald ノブ/アンカープラーの補修
今回は工具の話です。

アメリカにある楽器関連の工具や材料などを幅広く扱うStewart-MacDonaldで以前に購入したノブ/アンカープラーなのですが…

サビまくって木材にしっかりと噛みこんだ古いギターのブリッジアンカーを抜いたところ…
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あまりの食い付き具合にプラー本体が曲りました…
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1.6mm厚のスチール角パイプを加工して作られているクローだと思われるのですが、これを曲げるとは…恐るべし!!
クローだけの購入が出来ず、本体ごと買い直すと約1万円かかるので…
車の整備をしている友人に頼んで補強補修をしてもらいました。
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叩いて形を整えた後に、上下に鉄板を溶接して板厚を増してあります。

アンカーを抜くのとノブを抜くクローはサイズが違うので、使う時に交換していたのですが…
「毎回取り替えるのは面倒だなぁ」と思っていたので、補修後に本体も作成する事にしました。
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ホームセンターでM10のボルト&ナットや塩ビパイプジョイントなどを購入して組み合わせます。
塩ビパイプは長過ぎたので必要な長さにカットして、内部のリブも削ってあります。
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ノブを抜くのは軽い力で済むので蝶ナットでも事足りるのですが、アンカーは固着している場合もあるので…
友人がTハンドルも作成してくれました。
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これでアンカー抜き作業も安心して行えますね。

仕事の合間にこのような工具の補修や加工も行って、より仕事がし易いようにしています。



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FENDER JAPAN PB62-90の全体調整&ノイズ処理
今回はFENDER JAPAN PB62-90の全体調整&ノイズ処理です。

このベースは1990年製と思いますが、私が高校生の時に既に母校の吹奏楽部の備品として有りました。
もう23年ほど前の話(1994年頃)ですが、それから今までにおそらく1度メンテナンスに出されただけだと思われる状態。
今回そんなベースのメンテナンス依頼をいただき、震えながらも懐かしい思いで取り掛かりました。
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数多くのベース担当者の使用によって堆積した汚れは層となり、塗装は艶が無くなっておりました。
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ネックは激しく順反りで弦高は驚くほど高い状態。
しかしコントラバスから持ち換えると、これでも違和感少なく演奏出来てしまうのかも…

弦はサビが出ていましたが、巻き方もダンゴになっていましたのでこの際に交換させていただく事になりました。
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ブラスバンドのポップスナンバーで使う用途が殆どのため、1年間で見るとそんなに酷使はされないのです。
使用ポジションも1~7フレットぐらいで済んでしまうのか、ハイポジションのフレットは減りもほぼ無く、頑固なサビが浮いていました。
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対してローポジションのフレットは激しく凹むほどに摩耗しており、フレット擦り合わせを推奨したい状態でした。
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堆積した手垢が歴史を物語りますね。

「ピックガードを押すとノイズが出る」という話から始まりましたが、確認してみるとグラウンドの導通不良とジャックのガリが主な原因だったと思われます。
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よく見るとポットデイトは98年とあったので、過去に98~99年頃?に一度アッセンブリの交換がされているようです。

ハンダ付けがイマイチな感じでしたので、ポットはクリーニングした上で配線材も交換しつつ全てやり直しています。
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写真を撮り忘れているのですが…純正のプラスチックナットは経年劣化か、お預かりして弦を外した瞬間に欠けてしまいました。
(取り外したら結局4分割されるような粉々状態でした)

そのためオイル漬けの無漂白牛骨で削り出してナットの作成交換を行いました。
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ナットを交換するという事は、この際にフレット擦り合わせも済ませた方が二度手間にならないで済むと判断し、フレット擦り合わせも行いました。
指板上に堆積した手垢は歴史かもしれませんが、今回は綺麗に落としてオイルを塗ってあります。
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フレット磨き上げはシリコンコーティングで仕上げているので、あまり弾かれないハイポジションにもくすみが出にくくなっているかと。

ボディに堆積した汚れはコンパウンドとスポンジバフを使って一皮剥くように落としてから、つや出しワックスを丁寧にかけて磨きましたので、ピカピカになりました。
最終的なワックス磨き上げは経理のGさんが黙々と手伝ってくれました。
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楽器のメンテナンスは華やかな部分は殆どなくて、大半はチマチマと磨き作業が多いのですが、結果がちゃんと伴うので手が抜けません。
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その他、ノブを回した時のカサカサ音が出ないようにノイズキラーワッシャーを入れたり、サビまくっていたピックガード止めネジをステンレス製に交換したり、トラスロッドが調整し易いように六角穴ナットに変更したりと今後のトラブル減少とメンテナンスがし易いように対策を行っています。
これから向こう10年、20年と長く活躍してくれると良いなと思いますし、本番前の微調整など含めて状態を見ていければなと思います。

当初の予想よりもコストがかかってしまったとは思いますが、やれる事はこの際全てやった自負がありますので、あとはしっかり弾き倒してもらえると嬉しいですね。


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